溢れ出る人間性

 

私はサービス付き高齢者住宅でパートのヘルパーとして働いています。
様々な方が入居されていますが、認知症の方も多く入居されています。

 

認知症の方は確かに物忘れはあるのですが、元々のその人らしさが失われることはありません。
認知症の症状として、人格などが変わってしまうことはありますが・・・。

 

私が関わらさせていただいている入居者さんのAさんは音楽の大好きな方です。
部屋を訪問したときに、昔の歌を歌ってみると一緒になって歌ってくれます。

 

「どんな歌が好き?」と聞くと「ひばりちゃんよ」と言って美空ひばりの歌を歌って聞かせてくれました。
Aさんはいつも元気な顔をしています。
目が生き生きとして楽しそうです。

 

声もとても弾んでいます。
そして、いつもお礼を言ってくれます。
些細なことでもお礼を言ってくれます。

 

Aさんの家族はあまり会いに来てくれず、娘さんが居られることは聞いていますが実際に会ったことはありません。
ごくごくたまに妹さんが会いに来てくれるだけです。

 

Aさんに昔のことを聞いても、「女の子が一人いるよ」などは話してくれるのですが、詳しい話は難しいようです。
私はAさんがどんな人生を歩んできたのかは知りません。

 

でも、今のAさんのことは分かります。
とても大らかで、朗らかで、歌の大好きなAさん。
Aさんお落ち着いた様子をみて、今Aさんの居場所はここなんだなと思います。

 

最近入居されたBさんは、とても不安なご様子です。
認知症があり、一人で暮らせなくなったため来られました。
「私の名前は〇〇です、よろしくお願いします」といつも教えてくれます。

 

自分の家がどうなっているのか心配だから帰りたいと毎日訴えられておられます。
ご家族がおかしをもって遊びに来てくれますが、帰りたいと訴えておられるそうです。
いつの日か、ここがBさんの落ち着ける場所になってくれるのかな?

 

ここで、Bさんの楽しみを見つけてくれるかな?など考えています。
「ここにBさん居てもいいんだよ、大丈夫だよ」とお声かけをしていますが、なんとなくサービス付き高齢者住宅が病院のように感じておられるようです。
だから、家に帰りたいと思うんでしょうね。

 

住み慣れた家が一番いいのはとても分かります。
ですが、それができない事情がそれぞれにあります。
せめて、楽しく穏やかに過ごしていただけるようにとお声かけをしています。

 

実は私の母もこの2人の利用者さんと同じくらいの年齢です。
親のことを見るのはとても大変なんだろうなと思っています。

 

利用者さんのことは昔を知らないからこそ今をそのまま受け入れられているんじゃないかと思うのです。
いくら介護の仕事をしていても、親となると感情が入り、冷静に介護ができるのか不安に思うことがあります。